2024年葛飾区金町、葛西神社恒例の「酉の市」リポート

私はかつて10年ほど台東区入谷に住んでいたことがあります。当時の家の近くには、酉の市で有名な鷲神社がありました。

毎年11月になると多くの人で賑わい、師走前の町の風物詩となっていました。

ちなみに、この浅草の鷲神社と新宿花園神社、府中の大國魂神社が東京三大酉の市といわれてますが、それ以外にも東京各所で酉の市がおこなわれています。

そして金町の葛西神社でも実は酉の市がおこなわれているんですね。

葛飾区では葛西神社だけです。

今回初めて葛西神社の酉の市に足を運んでみました。

葛西という地名の由来

葛西神社は金町エリアの氏神様といわれている神社ですが、なぜ金町なのに葛西なのでしょうか?

実は、地名としての葛西には狭義の意味と広義の意味があります。

狭義では、江戸川区の地下鉄東西線「葛西駅」を中心としたエリアを指しますが、広義ではもっと広い範囲になります。

葛西とは、文字通り葛飾の西という意味。もともとの葛飾郡は一都三県(東京、千葉、埼玉、茨城)にまたがった広大なエリアでした。

その後、東京都に組み込まれた葛飾区、江戸川区、墨田区、江東区、足立区の一部を西の葛飾、つまり「葛西」と呼ぶようになりました。

葛西神社は、この葛西エリアの総鎮守であり、創建は鎌倉幕府が成立したといわれている1185年。

当時の領主であった葛西清重により、香取神宮の分霊を祀ったのが始まりといわれています。

酉の市とは

酉の市は、江戸時代から続く関東の冬の風物詩で、毎年11月の酉の日におこなわれる祭礼です。

「酉の日っていつ?」

酉の日とは「十二支の酉にあたる日」のことで、12日ごとに巡ってきます。

そのため、11月に2回は必ず巡ってくるのですが、月3回の年も。

2024年は3回の年でした。
11月5日(火)が一の酉、17日(日)が二の酉、そして29日(金)が三の酉。

さて、酉の市の名物といえば熊手です。

「運や金銀をかき集められる」という意味で、商売繁盛の縁起物として酉の市をいろどります。

関西ではあまり馴染みがないようで、江戸を中心とした関東地方独自の風習のようです。

今回は11月17日の二の酉にうかがいましたが、ちょうどお客様が熊手を買う瞬間に立ち会いました。

売買が成立すると、酉の市名物の手締めの始まりです。

「シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、シャン」(3・3・3・1)の手締めに合わせて掛け声をかけていきます。

「お手を拝借、商売繁盛、家内安全、よー!せいや!せいや!もう一丁!せいや!」

浅草の酉の市とは掛け声が少し違いましたが、威勢のいい掛け声を聞くと「これぞ酉の市!」という気分になります。

境内には熊手の露店が3軒出店していました。

無形文化財の葛西囃子

お隣にある神楽殿では、東京都の無形文化財にも指定されている葛西囃子(かさいばやし)が演奏されていました。

葛西囃子は東京都およびその周辺の祭囃子の祖といわれていて、江戸の祭り囃子の源流となった郷土芸能です。

「本所囃子」「神田囃子」「住吉囃子」等多数存在する祭り囃子はいずれも葛西囃子より派生した支流であるといわれています。

今年の二の酉では9時から18時までの間、葛西囃子保存会による葛西囃子の奉納がおこなわれました。

酉の市のもう一つの醍醐味、屋台めぐり

一旦家に戻り、夜になってから今度は家族で訪れました。

お目当ては屋台めぐりです。

正面鳥居と大鳥居の間の一帯に屋台が並んでます。

葛西神社の出口付近にも程よい感じで屋台が並んでいました。

見ているだけでワクワクします。
お祭り大好きの3歳の息子もとても楽しそうでした。

我が家はまずは、たこ焼きからスタート。

やきとりは一本130円から。

もちろんビールは欠かせません。

テーブル席で隣に座っていた女性が、「ここの焼き鳥、本当においしいですよね?びっくりしました。」と声をかけてきました。

本当にクオリティーが高くて、ぼんじりはぷりぷり、つくねは息子がどんどん食べるので追加購入しました。

そして縁日ではいつも外せないのが、じゃがバターです。縁日のじゃがバター大きくてほくほくでどこで食べても間違いありません。

最後はバナナチョコです。

3歳になったばかりの息子は、実はまだチョコレートを食べたことがありません。
この日はついにチョコレートを解禁しました。

「今日初めてチョコバナナ食べた!」と息子も大喜びでした。

二の酉のこの日は、19時から神楽殿にて酉の市演芸大会が催されていました。

猿回しに扮したお爺ちゃんのバルーンアートや、赤い背広のおじちゃんのマジックショーで大勢の子どもたちが集まっていました。

三の酉では素人のど自慢大会も開催されたようで、これは戦前から続いている大変盛り上がる催し物なのだそうです。

本当は浅草の酉の市まで行こうと考えていたのですが、こんな近くに酉の市があることに気づいて、「やっぱり金町はいいところだなぁ」と思いました。

大きすぎず混みすぎず、程よい感じの葛西神社の酉の市。

ぜひみなさんも立ち寄ってみてください。

葛西神社酉の市
住所:東京都葛飾区東金町6-10-5
アクセス:JR常磐線「金町駅」から徒歩約10分
京成金町線「金町駅」から徒歩約11分
TEL:03-3607-4560
開催日:葛西神社HPをご確認ください

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。